第二章 Φ-ファイ

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と…、ここで俺の過去話しは終わり、現在に至る訳だ。 俺はどこかもわからない森、もしくはジャングルで一匹のモンスターに追われて逃げ続けているという訳だ。 「うひぃぃい!!」 「グゲゲゲ!!グゲ!」 怖い怖い怖い怖い怖い怖い! どんなホラーゲームよりも、どんなホラー小説よりも恐ろしい、別の意味で恐ろしい体験を今俺は味わっている。 まだ鶏の頭で体が人間だけというならまだ怖くはなかったし、普通のモンスターとみなしていただろう。 だがこの鶏ボディービルダーの動きは異常だった。 「っく…」 俺はちらりと後ろを振り返る。 「グギャアアア!!グゲゲゲ!!」 「や、やっぱり怖ぇぇぇぇえ!!」 今現在俺の背後で追いかけてきている鶏ボディービルダーの動き、そして表情、共に気味が悪かった。 もう気味が悪いを通り越して恐ろしかった。 「その追いかけ方やめれぇぇぇ!!」 まず走り方が陸上選手なのだ。 体は人間なので、必然的に追いかけてくる時は人間と同じ挙動になる。 普通の走りならいい、だが走り方が洗練された陸上選手のようなスマートかつ豪快な走り方だったのだ。 体だけを見れば素晴らしいフォームと言っても過言ではない。 まだそれだけなら問題はない、問題なのは顔の部分である鶏にあった。 謎に飛びだし血走りまくっている目玉、異常に膨らんだ鶏の顔、口から飛び散りまくっている唾液。 まずこれがデフォルトだ、そしてこのデフォルトの顔が左右に何故かありえない速さで揺れまくってるのだ、叫び声をあげながら。 さぁこの顔にさっきの陸上選手を混ぜてみよう…、どうだい?信じられない生命体が脳内で誕生しただろ? 「誰か助けてぇぇぇえ!!」 だがこんな森の中で叫んだ所で誰か来てくれるはずもなく、ただ俺の声が森の中でこだまする。 まだ虎ゴリラに追いかけられた方がまだマシだった、強さで言うなら虎ゴリラの方が上なのだろうが…。 「グギャアアア!!」 これは…精神的に辛い。 俺は問おう…、世界よ、俺を一体どうしたい?
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