第三章 遡る思い

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「殺しはしない、捕まえて警備隊の者に引き渡すだけだ」 「うわぁ…これまた定番」 「…定番?」 「いぇ、こちらの話しです」 どうすればいい? もうとにかく突っ込みどころ満載だ。 まず何で俺がこんな目にあってんのかって事と、不法侵入者が出ない為にゲートがわざわざあるのではないの?とか…。 あー、俺元の世界に帰れるのかな? 「ちょっとアシェリー、いくらなんでも突然すぎだよ、まだ本当の所どうなのかもわかってないのに」 「…む」 レイがそう言って手を剣に伸ばして止めると、アシェリーは剣を鞘に収めた。 「それで、目的は何…?」 さっきまでの明るい表情は消え失せ、レイは鋭い眼差しで俺の事を見つめだした。 照れちゃうじゃない。 「答えて」 なんで俺こんな取り調べみたいな事になってんの? あーもうさんざんだ、俺が今思う事はこれだけだった。 「家に帰りたい…」 「…家?」 大体にして何で飛ばされた先がこんなよくわからない森の中なのだろうか…、もうちょっとマシな所に飛ばして欲しい所だ。 「おまけに世界が変わる度になんで空からスタートなんだよ…、失敗したら死ぬだろ、いや失敗しなくても普通死ぬだろ」 「世界が変わる度…?」 おまけに赤髪の美少女にいきなり剣を向けられる…。 俺はもうやりきれない気持ちになり、近くにあった木によっかかって思いっきり溜息をついた。 「…ねぇねぇ」 そう言ってレイは木にもたれかかる俺の肩をちょいちょい突いてきた。 「もしかして、他の世界から来たの?」 「え?」 この女性は何を言っているのだろうか? 普通の人なら「こいつ頭おかしいんじゃね?」という台詞をこうも簡単に尋ねるとは…、だけどこれは好都合だ。 「そうだけど…」 「…ふーん」 一体何なんだ、自分で聞いときながら疑った目をして俺の事を見て。
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