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◆ ◆ ◆ ◆
「よ」
先客である太陽が片手を軽く上げた。
葵がプールに到着すると、ベンチで寝そべりブックカバーを付けた本を読んでいたのである。
「また、会いましたね」
「ん。」
「私が来たの、わかったの?」
「まあ、気配で」
本を読んでいるからか、どことなく愛憎のなくみえる。
(私も座ろ……)
もしかしたら、昨日話せたのはただ彼の気まぐれなのであろうかと、苦笑いした。ちょっぴりだけ馴れ馴れしく話かけた自分が恥ずかしかったのである。
葵が占領されているベンチの傍に腰を下ろすと、太陽はチラリと目を葵に向けたが、またすぐに本へと戻した。
(やっぱり……男子ってみんな同じなのね……)
葵はふぅ、とため息をつく。片手でスクールバックのチャックを開けて中を探り、“特大!バナナ味のメロンパン”と誰もがツッコミたくなるような売り文句が書かれていたメロンパンの入った袋を取り出す。
しかし、葵自身、全く気にはしていないようでおもむろに袋を引っ張った。
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