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(開かない……これ……)
メロンパンの入った袋は、一ミリも開かない。それどころか、引っ張るから袋が余計伸びていた。
(なによう、開発者ちゃんと開けやすく作りなさいよう)
開けようとするのをやめ、葵はメロンパンとにらめっこする。が、葵が一方的に不機嫌そうにしていた。
結局そうやって一分程、メロンパンと睨みあって第二ラウンドを開始しようとした時である。
「あぁ、見てらんねぇなあ!貸してみろ。開けてやるから」
開いたままの本をベンチに置いて、寝ていた太陽は起き上がり葵の持っていたメロンパンを取り上げた。
(見てたんだ……)
見てたんなら開けてくれたらいいのに。なんて葵は思わなかった。
ただ、手早く開封される方法が見つけられて、ちょっとばかりご機嫌になったのである。
太陽の手に持たれたメロンパンは、秒単位の早さで開封された。
「ほらよ、」
「あ、ありがとう……」
キラキラしていた葵の目を見て、太陽の頭上にはクエスチョンマークが浮いた。
「どうした?」
「あなたの手、凄い……」
葵の視線の先には太陽の手があった。
「え?」
太陽は、手が何か可笑しいかと手のひらと手の甲を何回も交互に見た。
「こんなに開けにくい、メロンパンを早く開けちゃうなんて……」
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