序章。

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少年が、最後の学年に進級する年の入学式は、曇りという微妙な天気だった。 (あー…ついてないな。今年の一年生) 入学生を哀れに思いながらも、少年は入学式を自分には関係ないと言わんばかりに一人、過ごしていた。 友達と呼ばれる男共は大半が部活勧誘の為のチラシ配りで、一部は可愛い新入生を探しに行く…なんて言う間抜けな奴もいた。 部活に入っていなければ、可愛い女の子なんて興味ない少年にとっては、心底どうでもいい行事である。 入学式なんて“あぁ、これで先輩達がいなくなった分の人数の埋め合わせだな”程度。 『なんだよお前、入学式に楽しみねぇの?つまんない奴』と散々周りから言われた。 “不愉快な。そもそも鼻の下伸ばして入学式に見に行ってんじゃねえよ”と少年は思っていたが。 少年は誰もいなくなりつつある校舎の中で、ただ一人だけで歩いている。 もうすぐ、式が始まる。 しかし、その時である。 少年の目に飛び込んできたのは、極端に真新しい制服に身を包んだ少女だった。 新入生だろうか。辺りを見渡し、焦る表情をしている。 (迷ったのか…?いやいや、校門から体育館まで直ぐだぞ?迷う筈がない)
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