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しかし、「私、“いじめ”られています」なんて被害妄想者みたいなことは他人に言いたくなかった。
なので葵は、
「クラスの雰囲気が無理なの。勉強、勉強ばかり言って。やんなっちゃう」と、適当に流した。
クラスの雰囲気が無理という似たような理由を並べて。
葵の高校は進学校。高校一年である葵達の学年が勉強と言いまくるのも無理はない。クラスに何人かはその雰囲気に着いていけないやつがいるのでこの理由は大いに納得できるであろう。
そしたら、太陽も目をまあるくして、葵の肩に手をのせた。
「ぼ、僕も同じ!」
「え?」
「僕のクラスも、良い大学行かなくちゃとか、受験だからとか、塾などとか言ってて」
「ちょっと待って。受験生ってことは……」
「え、僕、三年だけど」
「あ……」
ケロリ、とした表情の太陽を見て、葵は止まってしまう。
まさか、年上だと思わなかったし、彼自身のふるまい自体が同い年を思わせたのだから。
葵はまた汗をだらだらとかく。もう暑いを通り越していた。
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