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「なんだ、気づかなかったのか?」
葵の不審な反応を見て、太陽は言う。
頷き、目すら合わせられないでいる葵は、心中で必死に言葉を探す。
「あの、ごめ…すみません!」
とりあえず出た言葉はそれで、葵は半分吃ったまま話し始める。
「…?何が」
太陽は、そんな葵の行動についていけなかった。否、急に謝られたので、何に謝ってるのかさっぱりだった。
「先輩とは知らず、敬語使わなくて…その、あの…」
“あぁ、そういう事か。”と太陽は納得するも、「はは、良いって。別にそういうの気にしないし。」
…と、やはり気にしてないようである。
「で、でも…」
それでも、葵の中では申し訳ない気持ちがいっぱい。先輩に対し、なれなれし過ぎた、から。
「んと、じゃあそのメロンパン擬き一口頂戴」
いきなりそんな事を言い、太陽の頭が葵の目の前にきて、シャンプーの香りを鼻に残した。太陽は、葵の手に持つメロンパンをぱくりっと一口食べると、葵から離れた。男の人の一口とは大きい。
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