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「ねぇ」
誰もいない放課後の教室は、茜色の夕日に照らされていた。
人から話しかけるのは久しぶりで、良い意味でむず痒くなる。
葵を呼ぶのは太陽以来であった。
葵は丁度、帰りの支度をしていて、これからプールへ行こうとしていた。
最近、美術室よりプールの方が、葵を癒している。
「なにかな。」
葵は声をかける人の方へ向く。そこには三人の女子がいて、一人はリーダー各だった。
「あんた、相宮先輩と仲良いの?」
(相宮…あぁ、あの人のことか)
普段、“ねぇ”“あなた”“君”という呼び合いなので、すっかり名字なんて忘れてしまっていた。
「どうなの?」
リーダー各の女子が葵に聞く。
「仲良いのかは解らないけど、よく話するよ。この間メロンパン食べたよ」
葵は、話かけられたのが嬉しくて純粋に、正直に話した。しかし、この純粋なる葵の発言が、仇となってしまう。
「…」
女子達は無言になり、表情は一気に険しくなる。
「相宮先輩と仲良くしないで」
リーダー各の女子から、そんな事を言われた。
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