黙。

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「…え?どうして?」 「あんたと相宮先輩が最近、プールサイドに侵入して仲良く話してるって聞いたのよ。」 太陽と話していたどうこうより、プールサイドに侵入したことがバレたのが耳に入る。 これを知られてしまったら、教師に言われて、立ち入り禁止になってしまう。 そうなれば、もうあそこには行けない。 自分の居場所が無くなってしまう。 「ねぇ、お願い。プールサイドに入った事言わないで」 葵は、リーダー各の女子の袖を引っ張る。しかし、直ぐ様振り払われた。 「嫌よ、入ってるの黙ってたら相宮先輩と話するじゃない」 一つ、解らない事が芽生えた。 「どうして、先輩と話すの、駄目なの?」 頑なに、太陽と話すのを阻止する女子達の発言や行動が、葵には理解出来なかった。 「まだ解らないの?相宮先輩が好きなのよ。」 「そんなの勝手じゃん」 理不尽な答えに、葵は苛々した。 何故、この女子達の勝手で、自分の日常を奪われなきゃならないのか。 自分には関係ない―――話したかったら話せば良いじゃないか。と思う葵の目は、彼女達を睨んでいた。 「私はあの人と話したいから話してるだけ。話たければ話せばいいじゃん。自分から話さないのに人に話すなとか言うの。卑怯だよ」 吐き捨てたように、葵は言いたい事だけを言い、カルトン入れと、スクールバックを肩にかける。 ――すると、だ。 背中に、鈍い痛みと衝撃が葵の身体を床に叩きつけようとした。その拍子に、おもいっきり右手を床についてしまった。痛みは右手に集中し、そのまま転ぶ。 「…舐めんなよ。」 後ろから、葵の発言に怒る声が恐ろしく聞こえた。 「ちょっと話しただけで…お前みたいなの、相宮先輩の暇つぶしにしかなってないんだよ!」
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