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「暇つぶしって悪いようには思えない。」
右手首が異常に痛む。葵はなんとか左手で支えて起き上がり、床に座り込む。
「だって暇つぶしって、空き時間を有効に使えてるって事でしょ?何が悪いの」
単に、苛々してる上に、“暇つぶし”という言葉で悪く言われ言い返しただけで、太陽の事を言ったわけではない。
しかし、彼女達には通用しなく、余計に怒りを増させた。
「生意気なのよ!いじめられてる癖に!」
「いじめてるのは貴方達よ。何故、癖にって言われる必要があるのよ」
葵は負けなかった。言い返した事がなかっただけで、葵はずっと溜め込んできたのだ。
無視されて、陰口を言われてきた自分を思い出す。
…知らぬ内に、目尻に涙が溢れそうになるが、何故だか解らない。
「お前なんか死ねばいいんだ!」
リーダー各の女子はとうとう憤怒してしまったようで、葵に対し暴言を吐いた。
その言葉は
葵の心の中でズキリ、と傷んだ。
――その時である。
「死ね、は良くないなあ」
女子達は目を見開く。いつも聴く、声がこの状況をストップさせた。葵自身、その声の存在に安堵した。
「よ。葵。」
―――相宮 太陽は、手のひらを床に座り込む葵の頭の上にのせ、くしゃくしゃと髪を乱した。
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