黙。

5/6
前へ
/55ページ
次へ
「遅かったから、お前のクラスに迎えに来たぞ」 太陽は手を伸ばし、葵の左手を引っ張り、立たせる。 「相宮先輩…どうして…?」 そんな葵と太陽のやりとりに、納得がいかない女子達。 女子達が口を開くと、相宮は彼女を睨んだ。それは、誰もが見たことのない冷酷な眼差しだった。 「…葵が何をした?」 「…え。」 “優しい爽やかな人”という太陽のイメージを作ってきた雰囲気は、今目の前にいる彼からは感じられない。 寧ろ、彼の存在は、女子達を身震いさせる程。 「葵が何をしたって聞いてんだけど」 太陽は、女子達にゆっくりと近づく。 「いや…その…」 壁に背中がついたと同時に、ガッ!と太陽はリーダー各の女子の胸ぐらを掴んだ。 「ひ…!」 両脇にいた女子達が、鉄板を爪でかいたような声を出した。 「僕は暴力が嫌いだ。特に女の子に対しては。…でも、葵をいじめるのは、許さない。」 冷酷なる表情をする太陽の声からは、怒りが丸出しだった。 そう言うと太陽は、リーダー各の女子の服を離した。掴んだ後が服に残っている。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加