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「どうして?」
リーダー各の女子の声は、震えていた。
目には涙が浮かべられていて、潤む眼球で上目使いする。
―――典型的な、女特有の演技だ。
まずい、状況に置かれての女の武器…。
太陽は、そんな女子に対し、無表情なままである。
「どうしてあの子をそんなに…?私、先輩の事…好きなのに…」
近い距離に立つ、太陽の服の袖を指先で引っ張る。
「そ、ありがと」
太陽は袖を引っ張ってくる指先を払いのけると、笑顔になる。その言葉を発して直ぐにこう言った。
「でも僕、お前ら嫌い」…と。
リーダー各の女子は、ただ呆然と立ち尽くすも、数秒後には泣き崩れた。
太陽の背中越しからわんわんと、泣き声が聞こえる。
「行こう、葵。」
太陽は、またいつもの太陽の表情に戻る。
優しい…笑顔の太陽に。
なんの疑いもない、いつもの太陽…。
「ほら、僕が持つから」
太陽は、葵の手から荷物を取り上げるようにして持つ。
…すると、だ。
葵の右手…手首から下が腫れているのに気づく。
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