11人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいけど、太一も一緒にいいか?」
隣に住んでいる幼なじみ――天草太一の名を告げる。
幼稚園から大学まで、全く同じコースを辿った。調子いい性格だが、根は真面目な奴だ。
「ああ、別に構わないぜ。むしろ、人は多いほうが助かるっていうか」
「助かる?」
「いや、じゃあ9時半に大学前の『カルテット』で」
「ああ、分かった」
俺は、カルテットの美味しいモーニングでも食べるか、と呑気な欠伸をして、電話を切った。
「あー、太一まだ寝てんだろうな」
サンダルをはいて、寝癖でボサボサの髪のまま隣のドアを叩く。
4度目のノックで、「うっせぇよっ!」とキレた太一が出てくると、
「オス」
と手を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!