【1】

6/44
前へ
/79ページ
次へ
「やっぱ、勇だし。何の用?俺、3コマからなんだけど」 二度寝する気満々な太一を追って、部屋に入る。 勝手知ったる、太一の部屋だ。 「相変わらず汚ねぇ部屋」 「うっせ。彼女持ちのお前と違って、俺は自由なの。片付けなんてクソ食らえだね」 「あ、そう。自由という名の、悲しい実態だな」 「こんな早くから嫌味に来たのかよ」 瞼が落ちかけている太一の背中を蹴る。 「痛ってぇ!」 「太一、犬井って知ってんだろ?そいつが話あんだってさ」 「犬井?……あぁ、あのチャラそうな奴か。勇、仲良かったのか?」 「いいや。急に電話掛かってきて、相談したいことがあるって」 「相談?」 目を擦りながら、太一が大きな欠伸をした。 ようやく目が覚めてきたらしい。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加