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「待て待て無理だ。いくら鋼鉄人間でも一人では無理だ」
瓦礫に埋まっていて、体もろくに動かせない状態である。
「殺せ……。俺はチームには迷惑かけたきゃないんだ!」
どんな奴でもプライドがある。
この男にとってはコレなんだろう。
チームを絶対に守る。
それが男の決意なのだ。
「いい答えだ。でも、現実は甘くないぜ」
口の端がつり上がり、悪感を感じさせるような言葉遣い。
「殺せ!俺はチームを売るつもりはねぇ!!」
断固拒否と男は諦めずに言い張る。
「……まぁ、聴けや?条件は一つだけだ」
少年は人差し指を立て男に見せる。
「俺に何を言っても無駄だ!ぐっ…」
そこで男は足の痛みが急激に襲われた。
多分、傷口に石か何かが触れているのだろう。
「(やはり、死ぬしかないのか……)」
男は諦めたように鋼鉄化した体が解除を図ろうとした。
「まぁ、聴け。
同盟を組もうぜ」
その言葉に男は呆気を取られた。
そして自然と力が抜けて、鋼鉄化が解けてしまった。
「くがっ……」
苦い痛みが男の体を圧迫する。
「バカかお前!!早く鋼鉄にしろ!」
少年は瓦礫を必至に持ち上げようとする。
しかし、持ち上がる気配はない。
「悪いな。小僧」
コンクリ同士が上手く噛み合ったらしくどうにか押し潰されなくて済んだ。
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