序章 始まり

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「いや、無事ならいい。でも、俺の板谷達が来るまで待って欲しい」 瓦礫の一つを指差しながら、 「俺じゃ無理だから」 と幼い笑みを浮かべている。 先ほどまでの悪人の笑い方ではなく、純粋な笑みだった。 「同盟ってのはどういう事だ?」 「今の状況、簡単には生きていけない。 要に同盟でも組んで助け合わなきゃ生きられないと思うんだ」 男の問いに黒鷹は答えた。 「裏切らない奴等と同盟を組みたかったし、だから俺達は裏切らない奴等を探していたんだよ」 近くの瓦礫に腰掛けて、神妙そうに語る。 「俺達は裏切るかもしれない。すでにてめえを殺そうとしてたんだぞ?」 男も試すように少し悪ぶりながら言った。 「アンタがいる組織なら大丈夫さ。 アンタの決意でそれを理解したよ」 「何を言うか……」 少し恥ずかしい言葉が返ってきて、男は気恥ずかしさを感じていた。 「それより、お前はあの場所を張っていたわけか?」 「まぁな」 高速道路の橋はすでに計算されていたことのようだ。 「杭を撃ち込むなんて芸当見せられちまうとは驚きだったぜ」 鼻で小さく笑った。
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