序章 始まり

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「『SPEC』ってのは最高だよな~! 何でもこなせる完全無敵な力。 特に俺のは特殊だ! 体全体を鉄に変えられる力だ!」 男は偉そうに胸を張りながら自慢気に大声を張り上げていた。 そう、彼は能力者『specer』(スペッカー)と呼ばれる人種なのだ。 化学物質『SPEC』が生み出した力。 それを成し得た人間達をそう呼んだ。 「銃弾も跳ね返す鋼の体とでも言う気か?」 少年の方は愚痴のような文句を吐き捨てた後、再び逃げる。 「現実、銃弾なんか痛くも痒くもないぜ?それより、今は自分の心配をした方が良いと思うぜ?」 手に持つマシンガンが火を吹いた。 連続発射される銃弾を少年は、岩壁に隠れて避ける。 「ったく、邪魔くせぇな。あれ」 男は攻撃を止め、ゆっくり近づいていく。 ここは高速道路でありながら、道の所々に岩壁などが出来ている。 理由は簡単。 戦闘が起こる度に能力によって、破壊や再生を繰り返しているからだ。 これを上手く少年は使い、男の銃撃を逃れているのだ。
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