神々の街

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 まぁ、いたらいたで別の文化ができていたかもしれないが……。  神様の言う通りに生きる世界か……。  でも、自分の生きる道は自分で決めたいけどね。  クリードはそんなことを考えながらジークの後に続いた。 「俺はここでお別れだ」  通りを進み、開けた噴水広場にでたジークが不意に言った。 「「え?」」  グロウとクリードは間の抜けた声を出してしまう。  あまりに唐突に言われても困る。  どうしようと互いに顔を見合わせていると、 「なにかあったら、聖堂にきな。まぁ、話くらいは聞いてやるから」  ポンと二人の肩を叩いたジークは快活な声とともに雑踏賑わう人混みに紛れてしまった。 「えーと……これからどうしよう?」  グロウは堅い表情でこちらを見ていた。  たしかにどうしよう、という状況だが、二人きりになれたのでここまでの情報を整理することにした。  クリードとグロウは噴水の傍にあるベンチに座り、ジークから貰った地図を開いた。  朝のゴタゴタてグロウに見せる時間もなかったのでちょうどいい。  クリードは自分達が今いる都市を指しながらグロウに説明を始めた。 「まず、僕達が始めにいた森はクロノアの森で、さらに川沿いに南に進んだここが現在地ミュケーナイだ」  指で進んできた経路を辿りながら説明していく。  グロウは地図を目を皿のようにして凝視しながら、うんうんと頷いていた。 「ジークさんが言うには都市の一つ一つに主となる神がいるらしい。僕らの世界だと、国と王みたいな関係かな。今はこの大河ヘシアをはさみ、バルカンと戦争が続いているらしいよ。戦争っていっても、今は睨み合い程度らしいけど」  ざっくばらんな説明だが、グロウにはこれくらい簡単な方がいいだろう。  長々と説明しても、頭から流れるだけだし。  彼女は体で覚えるタイプなので、勉強系は苦手なのだ。 「ふーん。なるほどねー」  こくこくと頷くグロウは急に空を仰いだ。  どこまでも晴れ渡る空には雲がゆらゆらと流れている。  どの世界でも空は変わらないらしい。 「神様にみたことない地図。ここってやっぱり……」 「そうだと思うよ」  クリードの同意でグロウは大きくため息をついた。  できれば外れであってほしい、夢であってほしいとこれほど強く思った瞬間はなかった。  しかし、これは現実。とりあえず受け入れないと……。
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