女神の試練

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 グロウ達がジークに会うため聖堂に足を進めている頃、その聖堂では――。 「それでバルカンの様子はどうだったのだ?」  四人の大騎士の称号を持つ騎士達が苦い顔で向かい合っていた。 『黒騎士』『白騎士』『紅の獅子』『紺の智将』の称号をもつこの都市のリーダーだ。  ジークはその中で『白騎士』を背負っている。 「ウルカヌス神はヘシアを関止め直接ここ、ミュケーナイに攻め込むつもりらしい。先日の調査で、あちら側が大規模な土木工事をしているのが確認された」  その帰りに、クロノアの森でグロウとクリードに出会ったのだ。 「戦闘力ではあちらが圧倒的じゃ。大河のおかけで奴らは大規模な攻撃はしてこなかったが、河を渡れるようになれば、あっという間に侵略を許すぞ!」  白髪混じりの赤い髪をした大男『紅の獅子』は重々しい口調だ。 「しかし、彼らが関止めているヶ所を決壊させてしまえば問題はありません」  四人のなかで唯一の女性である『紺の智将』は余裕をもった口調で語った。  ジークもそう考えていたが、あちらの方が一枚上手だった。 「俺もそう思ったが、工事に使われている素材は鋼の神が自ら鍛えた鋼だ。人間である俺たちにはまず壊せない」 「ならばどうする? 我らが神に知恵を拝借するか?」  顔を兜の面頬で覆っている『黒騎士』はため息混じりに提案した。 「無理だろうな……」 「昨日も知恵を拝借させていただこうと訪ねたが、まったく無反応じゃった」 「アテナ神は我らの力でこれを乗り切れというおつもりなのでしょうか」 「………………」  現状で思いつきそうな策はない。  知恵者たる『紺の智将』オウルが思いつかないのだ。実践タイプの自分や『黒騎士』ではまったくダメだろう。経験豊富な『紅の獅子』は両手の指で山をつくり、考え込んでいる。  アテナ神は何をお考えなのだ……。  人間の考えなど及ぶはずもない神の深慮に、ジークは天を仰いだ。
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