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燃えるような紅の森を二人は歩き続けた。
しばらく歩き続けると小さな明かりが見えてきた。
「ねぇ…明かりよ! 明かり! 誰かいるわ!」
グロウは嬉しそう明かりの方を指差している。
「本当だ!」
クリードもグロウに続いていった…明かりの元に近づくと、大きな人影が見えた。
(グロウ待って!)
クリードはグロウの肩を捕まえ、制止させた。
(どうしたの?)
グロウは怪訝な表情を浮かべる。
(もし賊かなんかだったらどうすんだ! もっと警戒しなよ)
クリードは草影から様子を見ながら囁いた。
村周辺でも盗賊や人さらいの被害はあったので、自然と警戒してしまうのだ。
(クリードこそ、心配しすぎなのよ!)
グロウはむっとして言い返す。
(グロウが無鉄砲すぎるんじゃないの?)
(なんですってーっ!)
二人が言い争っていると、突然頭上から男の声がした。
「誰だ!」
どうやら口論の声が聞こえたらしい。
「なんだ子供じゃないか!? こんな時間に何をしてるんだ?」
二人を見て男は驚いたような、怪しむような表情でこちらを見た。
黒い甲冑に身を包んだ大柄な男だ。
顔立ちは整っているが、鼻に一線の大きな古傷がついているため、ちょっと恐い。
グロウは数センチ後退ってしまった。
(ちょっと、どうすんのよ!?)
グロウは困った表情でクリードを睨み付けた。
まるで、みつかったのは自分に非があるようなんですけど……。
クリードは内心独りごちたが、つっこむだけ話がややこしくなるので、黙って話を進めることにした。
(僕に話を合わせて)
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