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「朝になったら、他の連中に紹介するから、二人とも今日は休んだらどうだ? 俺のテントを使うといい……」
ジークは何個か張っているテントを指差した。
いたれりつくせりで恐いほどだ。
「でも……そこまでしてもらわなくても」
あまりに親切だったので、クリードは驚いたようだったが、
「いいんですか!? ありがとうございます!」
グロウは大喜びしていた。
(少しは遠慮しろよ!)
クリードは呆れながらグロウをこずくと、
(じゃ、クリードは野宿しろっての? 花の乙女がいるのよ)
何が花の乙女だ。自然児のくせにっ! でもグロウを野宿させるのは何となく気が引けた。
グロウの反撃にクリードがどう切り返すか悩んでいると、
(ホラ、行こ!)
クリードを引っ張りながらテントに入っていった。
「ジークさん!お休みなさい!」
テントからひっこり顔だけだしてグロウは挨拶した。
「いい人みたいでよかったね……」
「うん……」
「あたしたち……かえれるよね……」
グロウは不安げに呟いた。
二人きりになると甘えてくるこの少女がクリードには愛らしく感じる。
「ああ……絶対に……」
クリードは小さな声で言ったが、はっきりと聞こえるように呟いた。
「お休み……」
グロウは少し安心した声で呟き、眠りに落ちた……。
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