神々の街

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 『マイス』は神族が支配する世界。  全ての人間は神々の下で調和と発展を遂げてきた。  しかし、いつしか神々は他の神を排除し、全てを支配しようと自らの領土を広げ、覇権を争うようになった。  神々を信仰する人々は信仰する神々のために各地で戦いを繰り広げていた。  パルテノン大陸、東南部に位置する大都市『ミュケーナイ』。  四つの地区からなる都市には、多くの武器や傭兵が集まり、各地の色々な情報や戦況が伝えられている。  この都市は女神『アテナ』を信仰し、その守護の下で栄えていた。  現在この都市は、大河『ヘシア』をはさみ、同等の規模を持つ大都市『バルカン』と戦争が続いている。  『ウルカヌス』を主とするこの都市は武器に長けた戦士を多く保有しており、武器の精製で栄えている。  クリードとグロウはジークに連れられ、『アテナ』を主とする『ミュケーナイ』へと到着した。  巨大なステンドグラスをもつ石造りの尖塔と大聖堂を中心に構える整った街並は壮麗で、力強いものがあった。 「綺麗な街並ねー」 「整備された人工都市って感じがするけどね」 「この都市は女神アテナ様を王とするミュケーナイだ。石造りと都市の中心にある大聖堂と尖塔が有名だからな。石造りの人工的さも魅力の一つなんだよ」  大通りを歩くクリードとグロウはジークに連れられ、都市の中心にある大聖堂へと向かっていた。  黄金に輝く林檎や、鮮やかな赤色をした葡萄に、焼きたての芳ばしいパンの薫りがたつ通りには、ところせましと露店がならび、商人に客、異国の旅人や子供、その手を握る母親などで賑わっている。  石畳の床には、オリーブの枝を掴むフクロウとその回りを蛇が環をなすように囲む絵が彫られている。  都市に掲げられた旗にも同じマークが描かれていた。 「あぁ、あれはアテナ様の象徴だ。蛇とフクロウ、そしてオリーブ。あれは女神アテナ様の紋章でな。この都市の誇りでもある」  クリードの視線を見ていたジークは嬉しそうに語る。  どうやらジーク自身もこの都市と、それを治める女神に誇りを持っている様だ。  しかし、神が支配する世界か……やはり自分達のいた世界とはまったく違う。  クリードはまだ完全に信じられなかった。  神など神話や寓話の中だけの存在だからだ。  少なくとも自分達の世界では神などいなかった。
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