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中学3年生の夏。 私は進路という壁を目前にした。 周りの子はウンウンと頭を唸らせ必死に志望校を考えている。 にも関わらず、 私〝相原 美音〟は平然とその光景を見ていた。 理由は1つ。 志望校が決まっている。 私立などは受けない。 その志望校に自信があるとかではなく、ただ受験するお金が勿体ない。 私の家は金持ちか貧乏かで言えば、貧乏だ。 母と弟との三人暮らし。 父は私が小学1年生のときに離婚して家を出た。 上に兄二人がいるのだが、どちらも成人して一人暮らしをしている。 母は数ヶ月前まで居酒屋で働いていたが、人間関係が上手くいかず長年勤めた仕事を辞めた。 だから今は、生活保護でやり繰りしてると母から聞かされた。 
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