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「美音、見学会8月の25日だって」 放課後、美術室で鉛筆を走らせながら麗香は言った。 「その日登校日じゃん。てことは学校来なくていいんだ!」 「うん。そういうこと」 二人で顔を見合わせニヤッと笑い、また鉛筆を走らせる。 私たち二人は美術部で、秋にある文化祭に向けて絵を描いている。 「けど私、絶対夏休みの宿題終わらない」 毎年登校日前日に徹夜して終わらせるのが恒例となってしまっている。 「オープンハイスクール前日、美音の家泊まっていい? そのとき宿題終わってなかったら、私も手伝うよ」 「嘘!ほんと?!」 「うん、駄目?」 駄目なはずがない。 寧ろ、 「寧ろ泊まって下さい!!」 「…ふっはははは」 麗香はツボにはまったらしく、しばらく笑い続けた。  
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