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「うそ、まだいたの…?」
涼子が先ほどの道に戻ってくると少年が同じ格好でうずくまっていた。
「キミ何やってるの、本当に風邪ひくよ?」
声をかけると、少年はちらりと涼子を見て小さな声で呟くように話す。
「でも…ほうっては、おけないから」
何のことだかわからなかったが、少年が何かを庇っているようにも見えたので覗いてみる。
そこには一一一
「………猫?」
猫が一匹ダンボールに入り、その小さな体を震わせていた。
「さっき見つけて、オレの家……母さんが猫アレルギーだから、飼えなくて…。どうすればいいか、わかんなかった…から」
自分の体を傘代わりにしようとしたわけか。
少年はそれだけ言うと猫の方に向き直り、頭を撫で始めた。
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