第1話 新たなる危機

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地球には、平和が訪れていた。 ウルトラマンメビウスがCREW GUYSと共に暗黒大皇帝エンペラ星人を倒してから三年。エンペラ星人の闇の遺産、暗黒魔鎧装アーマードダークネスを排除してから二年が経っていた。 メビウスが去ってからも頻度は落ちたものの、やはり怪獣は現れていた。だが、それらは全てアイハラ・リュウ隊長率いる新生CREW GUYSによって倒されていた。 ウルトラ警備隊のキリヤマ隊長の言葉、『地球は我々人類の手で守り抜かなければならない』を正しい意味で実践していた。 そんな平和に包まれている日本、東京。 人通りの少ないある道で、会社で仕事を終え疲れはてた一人のサラリーマンが夜空を見上げた。空に何かが光ったような気がしたが、彼はしばらくすると何事もなかったかのように歩き出した。 だが、そのサラリーマンが見上げたさらに向こう。 宇宙の彼方では…。 2つの生物が戦っていた。時折、お互いに光線を放っている。 一方は胸に輝くカラータイマーと銀色の体に赤のライン。まぎれもなく宇宙警備隊の戦士だ。 そしてもう一方。こちらは異形の怪物だった。 頭頂から突き出た一本の角。嘴。両腕の先に手はなく、代わりに鋭いツメがある。そして本来の口とは別の、腹部の口。 宇宙大怪獣ベムスター。数十年前にウルトラマンジャックを、四年前にはウルトラマンメビウス、ウルトラマンヒカリを苦しめた強豪怪獣である。 それに立ち向かってゆくウルトラ戦士は、ついこの間訓練所を出たばかりの新米宇宙警備隊員であった。 若さゆえの愚かさからベムスターに勝ち目のない戦いを挑むウルトラ戦士。高速戦闘でも、肉弾戦でも追い詰められついに胸のカラータイマーが赤く点滅し始めた時、彼は腕を十字に組み、必殺光線を放った。 光の奔流が高速で迫ってゆき、それがベムスターを貫くかと思われた時。 腹部にあった口が突然開き、光線を飲み込み始めた。 やがて。 唐突に光線は途切れた。 己の限界まで光線を放ち続けもはや身動きひとつとることが出来ないウルトラ戦士に対し、光線を飲み込みエネルギーを回復したベムスターが非情にも襲いかかる。 お返しとばかりに頭の角が輝き、フルパワーの光弾が放たれようとしたその瞬間。 ベムスターの背中で楔型の光線が弾けた。 若干の驚きと邪魔をされた怒りを込めて振り向いた視線の先にいたのは…
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