act.1

2/62
前へ
/64ページ
次へ
爆音と共に、もうもうと白い煙が舞い上がる。 視界を奪うそれに舌打ちをしつつ、神経を研ぎ澄ませた。 大丈夫。 相手は下っぱ連中。 こんな状況なら何回もあった。 心中で唱えつつ、不意に飛んできた弾丸を刀身で弾く。 足を微かに動かすと、じゃり、と床が擦れる音がした。 と、同時にある考えが閃く。 再び飛んできた弾丸を頭を下げて軽く避けながらしゃがみ、先ほどの爆発で崩れた家屋の一部を手にとる。 適度に重さのある手のひらサイズのそれを、 「よっ。」 勘に任せておもいっきりぶん投げた。 ガッシャーン!! 「な!?」 「何だ!?」 「ガラスが割れた!!」 「ビンゴ。」 ぽつりと呟き、低い体勢のまま地面を蹴る。 煙が、割れた窓から新鮮な空気と入れ替えにどんどん出ていく。 みるみる開ける視界。 「や、奴はどこだ!!」 「ここだよ。」 騒いでいた男の問いに、仲間が答える前に、答えてやる。 醜く引きつったその男の顔は一瞬で消え、変わりに真っ赤な花が咲いた。 振り返りつつ、ぽかんとこちらを見ている男達に、微笑んで見せる。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加