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「わ、ぁぁああぁあ!!」
奇声をあげつつ慌てて銃を構える男の腕は、
もう、なかった。
「え?」
一瞬後にごとり、と銃が地面に落ちる。
彼の腕ごと。
二人分の血のついた刀を払うと、ようやく斬られたことに気付いたらしい。
今さら悲鳴をあげつつ、地面に蹲った。
「遅い。」
一人。
「話す時はもっと静かに話さないと。」
二人、三人。
「大体の居場所がばれるだけでも相当のハンデになるよ?」
四人、五人、六人。
「で、」
七人、八人、九人、十人。
「あなたがリーダー?」
最初の二人を合わせて十二人分の血を吸った刀が、妖しく煌めく。
真っ赤に染まった地面に、立っている者は既に二人しかいない。
自分と、もう一人。
その人に刀を突き付けながら尋ねた。
「は、反政府組織『小野川組』筆頭、楠木只三朗!!腐った幕府に味方する新撰組一番隊隊長沖田総司の命、しかと貰い受ける!!」
「『小野川組』……?」
どこかで聞いたことがある。
楠木が向かってくるのを視界に入れつつ考える。
と、すぐに思い出した。
ギインッ!!
自分の刀と楠木のナイフが交錯する。
必死の、だが青ざめた表情でギリギリとナイフに体重をかける楠木を片手で制しながら、口を開いた。
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