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(うわー……絶対変な事に首突っ込んじゃったよ、俺!)
走りながら心の中で叫ぶ。
(また副長に怒られるよなぁ……)
他人事みたいに思った。
影はまだ山崎を追う。
「……くそっ」
──どうやって彼らを撒く?
辺りを見回し、近くにあった廃墟に入る。まずは体制を立て直したかった。
山崎は奥に進み影になるところに隠れて、担いでいた少女を静かに下ろした。
「う……」
「大丈夫?怪我はない?」
「っ、どうして!?私のことはいいからって──」
「静かにっ。敵に見つかっちゃうよ」
“敵”という言葉に反応したのか、少女は山崎の言葉を聞いて周りを覗いた。
誰もいないことを確認すると、今度は小さな声で話し始める。
「……狙われてるのは私じゃなくて、この子なの」
「うん、分かってた」
「えっ……何で」
「ちょっと試したからさ」
抱いている犬を見て、山崎は苦笑した。
「……分かってるんなら、早く逃げて。私があいつらを引き留める」
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