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「駄目だよ、一緒に逃げよう」
「何回も言わせないで!私のことはいいの!!」
「!──伏せてっ!!」
少女の体を自分の元へ引き寄せるのと同時に爆発音が響いた。地が揺れ、煙が辺りを包み込む。
しばらくして山崎は起き上がり安全を確認すると、庇っていた少女に声をかけた。
「……大丈夫?怪我はない?」
「……うん」
「──ほぉ、まだ生きてたか」
すっと現れた気配に緊張感が走る。
正面から姿を見せたのは中年の忍一人だった。その他にも隠れてはいるが数人の気配が察知できる。
──この状況をどう打破するか?……誰かを、何かを犠牲にしなければならないかもしれない……。
冷や汗を流しながら山崎は子犬を地面に下ろし、そして少女の前に立った。
「そこの坊主、何者だ?」
「……僕はただの平民ですよ」
「はっ……ここまで来てそんな分かりやすい嘘を言うのか?」
(……やっぱり無理だよなぁ……)
心の中で舌打ちをしながら、黙って相手を睨みつける。
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