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相手の方はと言うと山崎のことはそこまで気に止めていないようで、視線を少女へと向けた。
「まぁいい……おとなしく“そいつら”を渡してもらおうか」
「残念ながら、この子達は物じゃないんで……渡せません」
言った途端、忍は笑い始めた。その態度に山崎は首をかしげる──少女の暗くなった表情にも気付かずに。
「……何がおかしい?」
「知りたきゃ地獄へ行くんだな……お前ら、殺れ」
「──っ、逃げるよ!」
山崎は少女の手を引いて走り出そうとしたが、少女は俯いたまま動こかない。
「!?ちょっと、何して……」
「ごめんなさい」
「──え?」
「この子のこと、よろしくね」
山崎の顔を見ぬまま走り出し、忍達に向かって駆け出す少女。手には──爆弾のスイッチ。
「待っ……!!」
手を伸ばすこともできず、忍達の目の前で爆発が起きた。爆風が襲いかかり、山崎は子犬を庇い再び伏せる。
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