預言者

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「私は預言者…今から言うことは、未来に行って見てきた事だ」 と老人が人々の中で話す。 しばらくして… 周りの人々は… 「けっ、何が未来に行ってきただよ」 「頭でもおかしいのかしら」 「何を言ってるやら、くだらん」 と、相手にもしなかった。 だから僕は老人に話しかけた。 「ねぇ、おじいさん…ほんとに未来にいったの?」 「ほんとに未来にいったよ…誰も信じてはくれんがの…」 老人は寂しい顔をみせた。 「すみません、僕には何を見てきたのか聞こえなかったのですが何を見てきたのですか?」 と、尋ねた。 「そうか…あと一週間後にこの街で災害が起こりこの街は壊れてしまうという景色を見てきたのだよ」 頭を抱えて言った。 「そうですか…それは大変ですね…なんで皆さんは信じないのですかね」 僕は不思議に思った。 「未来を見る事など出来るものか、不吉な事を言うなと馬鹿にされただけじゃよ」 悲しげに言った。 「じゃあ、おじいさんだけでも逃げてはどうですか?」 「わしはもう歳じゃから…街の皆には助かってもらいたかったんじゃ…でも、ダメじゃろうな」 泣きながら話した。 「そんな……」 僕はなんて言えば良いかわからなくなった。 「いいんじゃよ…旅のお方よ…わかっていたことじゃ」 泣きながら笑っていた。 「例えばわしが今あそこにいたらどういうことかわかるかな?」 老人は僕の真後ろを指した。 振り返るとそこには今目の前にいる老人がいた。 目があうと遠くの老人は隠れてしまった。 「わしはおまえさんが話しかけてくれることも、皆が話しをきいてくれんことも知ってる」 満面の笑みで言った。 「おじいさんはどうやって未来を見たんですか?そしてどこまでを見たんですか?」 僕は頭が回らなくなっていた。 「これこれ、落ち着きなさい。わしにはまだ時間があるからの…君に時間があるならとりあえず、うちに来て紅茶でも飲みながら話そうか?」 にこりと笑った。 「特に急ぎの用事もありませんし、一週間このまちは確実に平和だと言うこともわかりましたし、お言葉に甘えてお邪魔させていただきます」 僕は老人についていく事にした 家はすぐ近くだった。
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