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それから璃乃は何度も同じような夢を見だしました。
誰かを強く恨んでいるような夢です。
もしかしてこれは自分が物の怪だった時の感情なのかと璃乃は考え始めました。
何故なら夢は段々とはっきりし始め、何を言っているのか聞き取ることが出来るようになったからです。
今夜も美沙姫様の隣で眠っているとまたあの夢を見だしました。
-…憎い…憎いぞ…!妾の黒鬼を…如きが!!奪うなんぞ…ぬ…!-
またも、璃乃は夜中に飛び起きてしまいました。
「一体…この夢はなんなの?…私はどうなってしまうのかしら…。」
ふ、と隣を見ると布団で眠っているはずの美沙姫様が居ません!
美沙姫様は黙って居なくなるような人ではないのに。
「姫様ッ!?どこへ行ってしまったの!」
璃乃は焦り、急いで部屋を出ようとしました。
ですが
「ッ!!…何ッこの痛みッ!」
突然激しい頭痛に襲われ、歩くこともままなりません。
襖にしがみつき、頭痛が去るのを待つ璃乃。
すると様々な記憶が走馬灯のように璃乃の頭の中を駆け抜けていきます。
物の怪として美沙姫様に取り憑いていた記憶…。
式神となり、美沙姫様と人間のように暮らしていた記憶…。
そして、物の怪となる前の…記憶…。
「あ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!」
頭を抱え込み、どうにか痛みを紛らわせようとするもまったく痛みはひきません。
「…グッ…私は…物の怪…姫様を殺すはずだった…?」
痛みに苦しみながら自分の使命を思い出した璃乃は
「行かなきゃ…姫様はきっとあそこにいるわ…殺さなきゃ……」
私は物の怪…異形のモノなのだから……。
あたしはどうかしてた…憎むべき対象と馴れ合うなんて…。
璃乃は先程思い出した記憶を頼りに美沙姫様を殺そうと走り出しました。
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