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「姫様は自分のやりたいようにやりなさい。帝は分かってくれるわ。姫様が選んだ道なら文句はないの。後のことはあたしに任せれば良いわ。」
璃乃はそう言って美沙姫様の肩をポンと叩きました。
「…では…お父様にごめんなさい…そして今までありがとう御座いました…そうお伝えして。美沙は先に逝ってしまうけど幸せでしたと。」
美沙姫様はそう言って璃乃を抱きしめ、紅雅に駆け寄りました。
「私も逝きます。後悔はありませんわ。紅雅様とならば何処へでもいきます。」
意志の強い瞳を見て紅雅は
「ありがとう…美沙…共に逝こう…」
美沙姫様に手を差し伸べ2人とも淡い光に包まれていきました。
-クッ!いかせるものか!!妾が…妾がッ!!-
「…ッ…ッ煩いわよ!あんたなんかに姫様の邪魔なんてさせない。」
-妾の一部のくせに生意気なことを言うでない!早よう妾に体を返せ!!-
「…ッ…例え始まりがあんただとしてもこの体はあたしのモノよ!あたしはもう物の怪じゃない…人間になるの!!」
璃乃はそう叫び瑠璃の精神を押さえ込みました。
「…ハァッ…ハァッ…そうよ…あたしは人間になるの…姫様の分まで生きるんだから…」
璃乃は美沙姫様へ視線を移しました。
その時にはもう淡い光は消えかけ、2人の姿も透明になっていました。
「…ありがとう…姫様…あたしに感情をくれて。」
一粒の涙を零したその時、淡い光は強い光に変わり弾けるように辺りに降り注ぎました。
あまりの眩しさに思わず目を閉じ、もう一度目を開いた頃にはもう、2人の姿はありませんでした。
2人が居た場所には美沙姫様が肌身離さずつけていた簪が落ちていました。
それを拾い上げようとした時、璃乃は自分が人間になっていることに気がつきました。
「…あたし…人間…?」
璃乃は姫様が最後に願いを叶えてくれたのかしらと涙が溢れて止まりませんでした。
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