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物の怪を追い出す為に僧侶はまず、霊山にある樹齢千年の木を持ってくるよう命じました。
すぐさま帝は隊を組ませ、霊山へと向かわせました。
木が来るのを待つ間、僧侶は身を清め、加持祈祷を唱えました。
二日程そのような状態が続き二日後、樹齢千年の木が宮廷へと届きました。
僧侶は加持祈祷を止め、代わりに弟子の僧達に祈祷させ、自分は届いた木を持って奥の間に籠もりました。
三日三晩、僧侶は奥の間から出てきませんでした。
僧侶は祈りを捧げながらひとがた…つまり人形を彫っていたのです。
「さぁ、今から美沙姫様に取り憑いた物の怪を追い払いましょう!」
そう言って、美沙姫様の枕元に人形を置き、何事かを呟きました。
すると今まで苦しそうな表情をしていた美沙姫様でしたが、フッと表情が緩み、体調も幾分か楽になったように見えます。
美沙姫様の枕元にある人形を見てみると、今まで木彫りの人形だったのから、まるで人のような姿になっているではありませんか。
これに驚いた帝はどういうことだ、と焦りを隠しきれません。
「なに、ご心配は有りませんよ。あの木で作った人形には私の力と霊山の力を利用して、物の怪を式神へと変じさせましたから。」
物の怪は性根を改め、きっと姫様のお役に立つことでしょう。
僧侶はそう言いました。
帝は僧侶に
-ようやった!褒美を遣わそうぞ!-
と言って僧侶にたくさんの褒美をとらせ、村へと帰しました。
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