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美沙姫様の枕元にはちょこんと手のひらに乗るような大きさの人形が座っています。
物の怪が抜けて顔色の良くなった美沙姫様でしたが、未だ目を覚ましません。
美沙姫様に合わせるように人形も目を閉じたまま静かに座っています。
「…ん…」
ようやく美沙姫様が目を覚ましました。
近くで見守っていた帝はたいそう喜び、屋敷中の使用人を呼び、沢山の馳走を作らせ、美沙姫様に食べさせました。
そんな宴会のような食事の最中、ふと後ろから、か細い声が聞こえてきました。
不思議に思った美沙姫様は何気なく後ろを振り返りました。
するとそこには僧侶が祈りを捧げて作った人形が目を開いて立っていたのです。
「まぁ!お父様、このお人形は何ですの?私へのお土産ですか?」
「いや、それはだね…」
と、帝は何もかも全てを美沙姫様に話しました。
事の経緯を知らせずには人形の説明が出来なかったからです。
話を聞いた美沙姫様は
「私の病は物の怪のせい…」
誰かに恨まれてしまうようなことをしてしまったかしら…と悲しそうに顔を伏せてしまいました。
帝は美沙姫様を励ますように
「大丈夫だ。これからはきっとその人形が助けてくれるさ。そのような力を授けたのだから。」
と言いました。
それから人形を抱き上げ、美沙を助けてくれるな?と聞いたのです。
もちろん誰も答えを求めてはいませんでした。
ところが、
「姫様次第よ。あたしが気に入らなかったら何にもしてあげないんだから。」
目の前の可愛らしい人形からそんな言葉が出てきたのです。
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