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それから数年間、美沙姫様と璃乃は共に学び、遊び、かけがえのない友となっていきました。
美沙姫様はみるみるうちに健康な体へと戻り、今では璃乃と山狩りへいけるほどに回復したのです。
帝は健康になった美沙姫様を見てホッと一安心したのも束の間、年頃の美沙姫様には次々と結婚の申し込みが飛び込んで来ていたのです。
どんなに良い縁談が来ても美沙姫様は首を振るばかり。
帝はすっかり困り果ててしまいました。
「璃乃よ。美沙が何故あれほどに結婚を嫌がるのか理由を聞いてきてはくれまいか?」
困り果てた帝は璃乃にそう頼みました。
璃乃は今では物の怪であったことは忘れられたかのように宮廷内で受け入れられています。
「了解ですわ。あたしも姫様が何故あれほどまでに拒否するのか気になっていたの。」
そう言って早速美沙姫様の住まう部屋へと向かいました。
「姫様、璃乃ですわ。今よろしいですか?」
「璃乃ちゃん?どうしましたの?」
中からは少し元気のない美沙姫様の声が聞こえてきました。
「どうしたの?は此方の台詞よ。姫様どうしたの?元気がないわ。」
部屋へ入った璃乃が見たのはいつもの、のほほんとした雰囲気のない美沙姫様でした。
「そうね…疲れているのかも知れませんわ…。ここの所、毎日縁談の話が来ていますの…。」
「それは聞いているわ。何でも良縁だと言われたものまでも破談にしたとか…。あたしはその理由を聞きに来たのよ。」
あたしには話してくれない?隠し事はしないって約束でしょう?
璃乃はそう言って美沙姫様の膝へと飛び乗りました。
「そうね…。璃乃ちゃんにはお話した方が良いかも知れませんわ。」
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