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僕は気付いていた。
兄は家出なんかしていない。そもそもそんなことをする度胸をもっていないのだ。
じゃあどうなったか。
消えたのだ。もちろん。
人生をリセットしたのだ。このボタンをつかって。
これで何もかもが納得できる。
兄が消えたわけも、連絡をよこさないわけも。
「本物だったんだ」
机に置かれたボタンを見ながらそう呟く。
なるほど。なるほどねえ。
僕はブレザーの内ポケットにサバイバルナイフをこっそりと忍ばせた。
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