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外の世界から隔離されて、思うように人間を襲えなくなってしまった。ここ、幻想郷にはルールができて以来、仲間もすっかりおとなしくなった。
元の世界が恋しい。しかし、人間がどんどん新しい文明や技術、思想を築くようになって我々を恐れなくなってしまった以上、こうするしか生きる術はなかった。幻想となって消えてしまわないために。
「スペルカード?」
なにやら騒がしい様子の仲間たちが言うには、人と妖怪が平等に闘えるために、血が流れず、かつ美しい決闘のシステムが生み出されたようだ。弾幕を作って相手をいかに被弾させるか、相手側はどのような弾幕でどういった方法で避けきれるかを競うルールらしい。
「ふうん。変わったルールだね」
まぁ、この狭い幻想郷。妖怪が人を襲い続ければあっというまに人間はいなくなるだろう。もちろん人を襲わない規則があるから絶対に起きない事だが。
「これは考えとかないといけないのかな?めんどうだなぁ」
騒いでいるのはそのスペルカードについての作り方らしい。皆ああだこうだと言っては実際に弾を撃ってみたりしていた。しかし、決闘…ねぇ。
「領土でも取り合おうってのかい。暇つぶしにはもってこいなんだろうな」
ここは幻想郷。人も妖怪も変わらず気楽に平和に時間がすぎていく場所。この話は一人の妖怪の視点で見た理想郷の物語である。
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