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朝。
たたみ4畳の狭い部屋。その部屋内を目覚まし時計の悲鳴の様なアラームが、けたたましく鳴り響く。
しかしその部屋の主──遥人こと俺ははまだ目を開けない。
やがてアラームの間隔が狭まり、定刻への遅れを警告と言わんばかりに俺に伝える。さて……起きるか。
「あぁ。朝か」
俺はアラームを止めながら当たり前の事をかすれた声でボソリ呟く。
時刻も見ず、遮光カーテンも開けないまま。
…………喉が痛い。
正直結構キツい俺は、素早く上半身を起こし腕を伸ばすと、立ち上がり布団を畳む。そしてハンガーに掛けある制服に着替えると階段を駆けていった。
一通りの最低限度の身だしなみを整えた俺は、アラームに増す警告を放つ喉を潤す為、リビングの戸を少し乱雑に開いた。
「おはよう。兄さん」
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