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リビングの戸を開けると、イスに座っていた制服姿の少女が立ち上がり、優しさに満ちた笑顔で俺に挨拶する。
俺の妹───唯だ。
「おはよう。身体の調子は大丈夫か?」
唯は喘息が酷く、その為ここ2ヶ月程外出を病院の方から禁じられていて、ずっと家で休養している。
「院長が大袈裟なだけだよ。それに11月からは状態次第で外出ていいって」
「後1ヶ月か。早く学校行けるといいな」
「うん」
なにげない日常の会話が、2人しか居ない少し寂しいリビングをほんのり温める。
俺と唯の両親は訳あって今は海外で仕事をしている。
小学生の頃は良く伯父さんが来てくれたが、俺が中学生になった時、事故で亡くなってしまったのだ。
「今日はトーストでいい?」
「うん。お願い」
注文を受け取った俺はブレザーを椅子に掛けるとそのまま奥にあるダイニングキッチンに向かい、支度を始める。
流石に喘息持ちの妹に無理させる訳にはいかないからだ。
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