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簡単な朝食を作り終わった俺は、左手にある皿を唯に右手にある皿を自分の所に置く。
焼きあがったトーストに綺麗な黄緑色をしたレタスとオリーブオイルで焦げ目が少し付くまで焼き上げたベーコンを挟んだシンプルなサンドだ。
「だって気になるんだもん」
自分の目の前に座る唯は華奢で、まるで陶磁器のような白い手を小さく合わせると、サンドを小動物の様な小さな口へと運ぶ。
「ちなみに俺の順……」 「今、緊急ニュースが入りました!!」
俺が口を開こうとした時、突然唯の延長線上にある薄型テレビの向こうが慌ただしくなる。
「本日午前7時40分。また、"ユメクイ"患者による暴動が東京都内で発生しました」
急遽(きゅうきょ)、予定が変わったのだろう。
忙しそうに書類に目をやり、そして真剣そうな目つきで女性のアナウンサーがはきはきと一枚の紙を食い入る様に見つめ、一度も噛むことなく読み上げる。
「またユメクイか……なんだっけ?鬱病の悪化した精神病とか………」
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