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菖蒲が考え込んでいると、怯えていると勘違いした浪人達は菖蒲の腕を掴み、引っ張って言った。
「俺達と遊ぼうぜ~優しくしてやっからよぉ~」
下心が見え見えの言葉に菖蒲は手を振り解き、とうとうキレた。
「イヤです!どうして貴方方みたいなロクデナシに付き合わなければなりませんの!?」
ちょうどそこに二人の青年が通りかかった。
茶髪の青年は既に酔いつぶれていて、赤毛の青年に担がれていた。
「なんだぁ?痴話喧嘩かぁ?」
赤毛の青年が菖蒲達の方を見ると
「あんだとぉ!?人が下手に出てりゃこのアマ!いい気になりやがって!」
三人は腰の刀に手を掛け―
「女一人に刀を抜くんですか?どうなっても知りませんよ?」
菖蒲達を眺めていた赤毛の青年は担いでいた茶髪の青年を放り投げ、菖蒲に駆け寄った。
(茶髪の青年は顔から地面に落ち、気絶した)
「へっそんな子供騙しが通じるとでも思っ―」
菖蒲の目に鮮やかな赤が飛び込んで来た。
それはあの赤毛の青年だった。
「おい、何やってんだ……」
赤毛の青年は殺気を込めた目で浪人達を睨み、刀に手を掛けた浪人の腕を掴んで言った。
「なんだぁ?てめぇ、関係ねぇやつぁ引っ込んでろ!!」
「お前になのる名前なんかねぇよ」
別の浪人が叫んだ。
「かまうこたねぇ!やっちまえ!」
浪人が二人、斬りかかってくるも赤毛の青年は拳で立ち向かい、一人は下から顎を殴りつけ、もう一人は顔を殴ろうとしたが、よけられ外れた。
だが、反対の拳で頬を殴りつけ、腹を殴り倒した。
「ちくしょう!覚えてやがれ!」
最後の一人は気絶した二人を見捨てて逃げていった。
情けない捨て台詞を残して。
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