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菖蒲と原田は壬生浪士組と書かれた看板の掛けられた門をくぐり、入り口に着くと大きな声で叫んだ。
「おーい!!土方さん居るかぁぁ!!」
少しして、青みがかった漆黒の髪を頭頂部で結い上げた男が不機嫌そうに出てきた。
「なんだ原田。こっちは仕事中なんだが?」
不機嫌そう、ではなく完璧不機嫌だ。
「あ、ああわりぃ。こいつは菖蒲ってんだ。菖蒲、この人は俺の上司の土方さんだ」
原田に紹介された菖蒲は慌てて土方と言う男にお辞儀した。
「はじめまして、天霧 菖蒲といいます。」
土方は原田に視線を戻すと、原田に問いかけた。
「原田、この女はお前の女か?」
これに慌てたのは原田だった。
「いやいやいや!!実は、さっき浪人3人に絡まれてた菖蒲を助けたんだが…連中仲間引き連れてまた来たんだよ。だから、少しの間こいつをかくまいてぇんだ。」
原田は事情を説明した。
「ふ…ん、まぁいいだろう。おい菖蒲、と言ったな。お前茶は淹れれるか?料理は?」
問われた菖蒲は一瞬解らなかったが、質問を理解した菖蒲はにっこり笑って
「はい、一応ある程度は出来ます!」
と答えた。
菖蒲の笑顔を見た二人は心の中で同じことを考えていた。
((かわいい…))
いち早く立ち直った土方は菖蒲に言った。
「じゃあ、これから茶を淹れてこい。不味かったら…出ていけ。原田ぁ!!勝手場まで案内してやれ」
言うだけ言うと、土方は奥に引っ込み、菖蒲は原田に案内され、勝手場に向かった。
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