第一章

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勝手場についた菖蒲はテキパキと手際良くお茶を淹れ、お盆にお茶と、たまたま買っていたお団子をを乗せるとまた原田に案内されて今度は土方の執務部屋に行った。 「お茶をお持ちしました」 障子に向かって菖蒲が声を掛けると 「おぅ、入れ」 「失礼します」 菖蒲はゆっくり障子を開け、中に入った。 (原田は廊下です) 「粗茶ですがどうぞ」 「あぁ」 土方は菖蒲の淹れたお茶を一口飲んだ。 「……!!」 菖蒲はちょっとうろたえて思った。 (ああ…不味かったのかしら?) しかし、思いもよらない反応が返ってきた。 「菖蒲っつったか。合格だ。居て良いぞ、屯所に」 その言葉に菖蒲は満面の笑みを浮かべ 「ありがとうございます!」 その笑みを見た土方は (やべぇ…かわい過ぎる) などと考えている事を菖蒲は知らなかった。 程なくして、菖蒲は執務部屋から出て廊下で待っていた原田に許可が下りた事を伝えると、原田は菖蒲の頭を撫でつつ言った。 「良かったな!それと、これからは同じ屋根の下で暮らすんだ。 俺のことは原田さんじゃなくて左之って呼んでくれ!」 菖蒲は少し照れながら 「はい、左之…さん//」 それを見た原田は (やべぇ…かわいい…)と考えていた。 こうして菖蒲は壬生浪士組にめでたく迎えられた。 ※後日談 原田に放り投げられた茶髪の青年―永倉 新八は完璧忘れられていて、藤堂 平助に居場所を聞かれてようやく思い出してもらえ、藤堂が迎えに来てやっと屯所に帰って来たそうだ。 (藤堂曰わく、発見時猫に絡まれていたらしい) .
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