【第一話】優しい小悪魔

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ーー午後八時。 「ただいまぁ」 由里が帰って来た! 俺は夕食の手を止めて玄関へと向かう。 「あ、お兄ちゃんただいま」 「・・・ちょっとこい!」 「え~??」 俺は由里の腕を掴むと、そのまま自室へ。 「ちょっと!離してよ!」 由里は俺の手を振り解こうと必死だ。 だが、俺は負けない! 「今日、変な電話が来た」 そう言うと由里の目が一瞬泳いだ。 「ふ~ん、それで?」 こいつ、あくまでしらばっくれるつもりか? 「真央ちゃんに近づくなって・・・今日、店で俺を睨んでた子がいた・・・多分あの子だと思う。俺の携番、お前が教えたんだろ?」 由里は観念したのか、腕の力を抜くと、 「そう、私が教えたの・・・どうしてもって言われて断りきれなくて」 やっぱり・・・しかし、分からない事がある。 「何で・・・俺が『近づくな』とまで言われなきゃならないんだ。あの子に何の権利があって、俺の心のオアシスを奪おうとするんだよ」
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