【第一話】優しい小悪魔

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「初めまして、水上真央(ミズカミマオ)です」 と、はにかみながら微笑んだ彼女のバックに、コスモスの花畑が見えたような気がして目を擦ってみた。 初めまして、って俺の事覚えてないのか!? ・・・当たり前だよな。 いちいちティッシュを配った奴の事なんて覚えていないよな。 でも、何でこんな可憐な子が、由里と友達なんだろう? は!?ま、まさか! 何か弱みを握られてるとかか? 「真央ちゃんはね、私のバイト先の店長さんなの」 こいつ、新しい服やらバッグやら買ってると思ったら、バイトしてたのかよ!まぁ、うちの学校はバイト禁止されてないからいいんだけどさ。 「バイトしてんだったら、たまには俺に奢(おご)ってくれよ」 「ん~、お兄ちゃんにはいつもお世話になっているもんね。 ・ ・ ・ だが断る!」 「何だよソレ!」 彼女は俺達の会話を聞きながら、楽しそうにクスクスと笑っている。 「あ、すいません!」 思わず謝ると、 「いえ、自分は一人っ子なので羨ましいです」 へえ、一人っ子なんだ。じゃ、俺が婿(むこ)に入る・・・違う!先走り過ぎだよ俺!
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