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雲一つない晴れ晴れとした青空。
夏の暑い日照りに目を細める。
会場中に響きわたる歓声を浴びながら、あたしはステージの階段を上った。
今日は年に一度の闘技大会の決勝戦。その相手は、あたしの親友にしてあたしの最高のライバル。
赤いリボンに結われた長い髪を揺らしてあたしの前に立った。
「……いよいよだね」
親友に言うと、にっこりと微笑し、口を開いた。
「今日も私が勝たせてもらうよ」
「そうはいかないよ。いつも負けてるんだ。今日こそ勝たせてもらうよ」
あたしも親友も強気を崩さない。
同時に大会用の武器を構える。
親友は槍を模した長い棒を。
あたしは剣を模した二本の棒を。
レフェリーが開始の合図をする。と同時に地面を強く蹴り出した。
武器と武器がぶつかり合う。お互いに息を切らしながらまだぶつける。
「ていやあ!」
力を込めて切り上げる。すると親友がバランスを崩した。すかさずその隙をもう一本の棒で突く。
「きゃっ!」
悲鳴をあげて尻餅をつく親友。その喉元に棒を突きつけた。
「………っ!………参り…ました」
嬉しさが込み上げる。勝った?あたしが?
「いやったああああーーーー!!!」
閉会式。優勝カップがあたしの手に渡る。
その瞬間、目の前が暗くなった。
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