始まりの手紙

5/11
前へ
/91ページ
次へ
常に影に覆われ、 まさに負の温床であろう オーストラリア最大のスラム街。 そこにジョンの家… というより住みかがあった。 ボロ臭い木造の建物、 窓からは風が音を出しながら吹き込み、 天井からは、水滴が一定のリズムで床を濡らす。 寝床以外はガラクタに支配されていたが、 ジョンはこの空間を甚く気に入っていた。 ジョン「ひっさしぶりの我が家だ! ゆっくりさせていただくとするか…」 勢いよくベッドに飛び込むと、 その反動で何かがフワッと宙を舞った。 ジョン「なんだ? ……珍しく手紙か… ポストもねぇのに… …いたずらか?」 言葉とは裏腹にワクワクとした表情を浮かべ、 手紙のあちこちを調べはじめた。 黒い封筒を裏返すと… ジョン「…ジョン様… まぁ、 とりあえず見てやるか。」 自分の名前が書いてあったことに多少ではあるが、 驚きの表情を浮かべるも、 明らかに好奇心がジョンを支配し、 ジョンはビリビリと雑に封筒を開けた…
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

209人が本棚に入れています
本棚に追加