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ーイギリス 某所ー
長身に眼鏡、エメラルドグリーンのジャケットを羽織った男はパソコンを睨みながら物思いにふけるように天井を見上げた。
長身眼鏡「こんな状態じゃ仕事もくそもないな。いかに金を掻き集めるか?
……しかし、どの会社も慎重になってろくに契約もとれやしない。」
そう言うとノートパソコンをパタンと閉じ、
日々浴び続けている社内の人工的な光から逃れるように、
赤くなった太陽が放つ優しい光を求め、
窓の方へと歩みを進めた。
彼の名はエドワード。
超一流企業の社員であり、なんといっても驚かされるのは、
その頭脳である。
IQは軽く200を凌駕し、6才でハーバード大学卒業。
解読不能とされたフェルマー係数を解いた彼でも、
今の世界を立て直す最良の策を考えると…
自然に大きなため息が出た。
エドワード「金が必要だな…
それも膨大な…」
正直世界の事などどうでもよかったのだが、彼にも生活がある。
「お疲れですか?
これ、とうぞ。」
同僚の女性社員が持ってきたコーヒーによって彼の思考は一旦中止された。
社員は彼がIQ200以上の天才であることは知らない。
それは面倒なことを極度に嫌がるエドワードが、
そのことを他言しないからであった。
眼鏡に赤い光を反射させ、遠くを見つめながら今さっき彼の元に運ばれてきた紙コップにソッと手を伸ばした。
一口でコーヒーを飲みきると、
右手でネクタイの結び目を左右に揺らしながら…
エドワード「今日は上がりだ。のんびり家で過ごすか。」
と、独り言のように呟き、先程とは180度違う表情を浮かべ、
赤い光と人工の光が混ざり合う、
多数のコンピュータの列によって形成された部屋を後にした。
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